もう一回その日は ちょうどクラスの日直の日だった。
放課後までに その日あったことを書いた学級日誌を担任に届けて、ようやく日直の仕事は終了となる。
べつに、律儀に自分の用事を一緒に待つ必要なんて無いのに…。
と いつも思うけど、わざわざ口で「待つよ 」とも言わず、さり気なく待ってくれることがとても嬉しかった。
「意外と書くこと見つからねぇよな、そういうの…」
毎日何かしらあったはずなのにさ、と虎鉄は続ける。本当にそうだ。先ほどから手に持ったペン先がむなしく空を切っている。日頃から思っているけど、改めて、本当に虎鉄は人の気持ちや空気を読むのがうまいなと思った。
「……あの、Sa」
前の席の椅子に こちらを向いて座っていた虎鉄が、なんだか落ち着かない様子で、さらに身を乗り出すようにして言った。
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