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    7nka29tteru4

    @7nka29tteru4

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    7nka29tteru4

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    思いついたので書いた話。書き散らしみたいなものなのでちょびっとしか推敲していません。この〇〇〇年後に星の子のおかげで2人は天空に行きます。
    <注意>
    ・男女の双子なつんおかです
    ・顔があります(作中に描写は無いけど仮面を外していてその下に顔がある設定です)
    ・2人の部屋があるなど微妙に捏造設定あり

     彼が夢の世界から現実へ引っ張り上げられた時、部屋はまだ暗かった。太陽の気配を一切感じられない静けさは、彼の瞼をもう一度閉じさせるに十分なものだ。しかし彼は瞼を閉じなかった。隣にあるべき温もりが無く、ベッドの縁によく見慣れた円い人影があったからだ。
    「あいぼぅ……?」
     寝起きのぼんやりした声が彼の口から出て、人影が彼の方へ振り向いた。
    「悪い、起こしたか」
    「いんや……」
     彼は夢うつつの舌足らずな声で答えてから、囁き声を出した人影を見上げて尋ねる。
    「おまえは……どうした……?」
    「目が覚めたから、ちょっと空を見ていた。良い星空だから……」
     今度はいつも通りの――とは言っても、幼子と話すような優しさを含んだ――声が返って来たので、彼も目をこすりながらのそりと起き上がり、人影の元まで這って近寄ると、窓の外を見上げた。ベッドの側には大きな窓があり、朝にはその窓から燦々と陽光が降ってくる。今は夜だから、溢れんばかりの星屑が、窓の外を彩っている。
    「ほんとうだ、良い星空だ」
    「故郷がよくみえる」
     ここには二人以外に誰も居ないというのに、彼女は彼の言葉を補った。彼はそのことを咎めることも無く、ただ片割れに寄り添うように星空を見上げた。
     そうして暫く沈黙を楽しんでから、彼は口を開いた。
    「還れると思うか?」
    「還れないさ」
     彼女はすぐに答えて、隣で寝そべる彼を見下ろす。そして自分の言葉に根拠を持たせるように、片割れに口づけをした。
    「かえれないよ、もう」
     彼女がそう付け足した時にはもう、彼は星空から目を離して彼女を見ていた。
    「知ってる」
     彼は静かにそう答えた。彼が次に何をしようとしているのか分かったから、彼女はすぐに腰を引いて彼から体を離した。だが彼の手から逃れることは出来ず、そのまま絡め取られるように腕の中に捕まってしまう。
    「……もう」
     呆れたようなため息をつきながら、彼女の細い指先が、迫る彼の髪を撫でる。口へ、喉へ、寝間着の下に隠れた肌へ。降り注ぐ口づけを受けながら、彼女はうっそりと瞼を閉じた。
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    7nka29tteru4

    DONE読んで字のごとく。現パロで峡谷が人間の男女の双子になっています。パネキがお料理しているお話です。カップリングでは無いですが、距離感が近いです。
    峡谷ということになっていますが、双子のそっくりさんと言って過言でないです。私が支部に上げている「剥片の双生児」という話と同軸ですが、読んでいなくても問題なく読める作品となっています。
    2022/2/19:加筆修正しました。
    バレンタイン前日の台所 小麦粉、バター、グラニュー糖、卵黄。そして忘れてはいけないチョコチップとココアパウダー。台所の作業台は、材料で埋め尽くされている。その内、ボウルの中に入っているのはバターとグラニュー糖。グラニュー糖は先程、ざりざりと音を鳴らしながらバターと混ぜ合わさったばかりだ。白っぽいクリーム状のバターを作るだけでも、既に一仕事したように感じる。しかしこれはまだまだ最初の段階に過ぎない。
     今度はそこに卵黄を混ぜて、バターを白から黄色へ近づける。よく混ぜ合わさって黄色っぽくなった生地に、今度は薄力粉とココアパウダーを。最近料理に凝ってる父さんが買ってきたカップ型の粉ふるいを使って入れていく。シャカシャカと粉を振るう下で、黄色っぽくなっていた生地が白と茶で埋め尽くされていった。
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