893ぱろ五悠「ハァッハアックソっ!!なんでこんな事に
」
五条の倅をおびき寄せる為にイロに手を出せ。オジキから命令されてここ数日五条のイロ、虎杖悠仁を尾行していた。
俺はまさか情婦が男なんて思ってもいなかった。とはいえどうせ色事をする身だ軟弱な野郎だと思っていた。だがそれはいとも簡単に覆された。
「あいつだ」
オジキが車のスモークガラス越しに指をさす。オジキの指の方向にその男がいた。特徴的なピンク色の髪。極道とは無縁そうな明るい顔つき。そしてタッパがあって頑丈そうな体に目眩がした。五条の若頭はこんなのを相手にしてるのか?と。ちゃんと雄らしい体つきを見てこいつを抱けるなんて、と敵対する身ながら五条を凄いなと尊敬してしまった。「読んどけ」と薄っぺらい紙をペラリと渡された。
虎杖悠仁 15歳
出身地 宮城
誕生日3月20日
身内なし
〇〇高校在学中
五条組の若頭五条悟に囲われる
紙のように薄い内容に心の中で苦笑するも顔に出さず「ありがとうございます!」と深く礼をする。
「いいか。イロに接触して盗聴器をしかけろ。そのままヤツの弱点を探れ。あとは五条の倅が居ないスキを見計らってイロを拉致しろ。」
「ウッス。承知しやした。」
簡単に言ってくれるなぁと顔が少し曇る。俺はスリがうまい。気づかれることなく財布や高級時計などを拝借してはその金を組に上納していた。そしてその逆もしかりで何かを忍ばせるという事にも長けていた。盗聴器、GPS、相手の不利になり得るもの何でも懐に入れていった。偶然を装いぶつかったり何かを落としたりしてはうまいこと相手の鞄の中や服に色々と仕込んだ。今回の抜擢もまあそうだろうなと納得はしている。