ワールドイズ 考えた末に電話をかけるとすぐに発信音は途切れて、何かが擦れるような音が聞こえた。もしもし、と返ってくる声は低い。さすがにもう仕事は終わって家にいるらしい。
「なんかURL送られてきたんだけど。詐欺? 乗っ取り?」
『あ、続き送るの忘れてた。詐欺じゃないよー。ちょっとお願いしたい事があって』
「はあ」
大きなクッションに体が沈んで、僕の視線は自然と天井に向く。どうして触った覚えもないのに天井にシミがつくんだろう。じっと見ていると顔にでも見えてきそうな気がして目を逸らした。テレビでは、ニュース番組が流れている。来週には冬らしい朝がやってくるらしい。
『漣くんの写真、撮ってきてほしくて』
「……誰?」
『THE虎牙道の』
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