ドライブ 街中で、自転車に二人乗りする高校生を見かけた。
交通ルール違反だとか、危ないとか、それらを思う前に、眩しいと感じた。
自分達にも、あんな時代があった。自転車なんて乗らなかったけど。
夜道を歩きながら、気配を消すのにも慣れたものだ。デビューして十年も経てば、人は成長する。変装用のマスクと帽子は肌身離さないし、面倒な週刊誌の盗撮の気配を察することも出来るようになった。じめじめと暑い夜風の中で、俺のことを気にする人なんていないだろうけど。みんな、日々を生きるのに一生懸命すぎて、周りなんて見ていないから。
たまに、全てを置き去りにして走り抜けたい、と思うことがある。朝のロードワークとは違う、本当に、ただがむしゃらに走り抜けていきたい欲望。通り過ぎていく夜景を見るのが好きだ、電車でも、タクシーでも。人々の営みが垣間見れて、だけどひとりぼっちの感覚がする。助けを求めたくなるようなさみしさと、放っておいてほしい焦燥感。これだけは、いくつになっても変わらない。
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