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    ユズだったり味噌だったり

    @yuzuki05_doll

    ドラゴンズドグマのうちの子落書きをひたすら投げます。
    リスト公開の破廉恥絵はこっちの破廉恥支店で公開中。
    【R!8】柚子みそ破廉恥支店 → https://poipiku.com/2105514/

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    POIPOI 311

    【DDDA】目指す背中〜ヴェルside〜
    友人がDDDAの自主従のSSにヴェルさん登場させてくれて、それがとてもニコニコしたので、そのヴェルさん視点を勝手書いたやつ…!文章で表現するの、慣れてないので、アレなんだけどテキスト投稿のベータ版ができたので、テストで。

    ##SS

    「……どうしたらそんなに強くなれるのかなって」
    そう言って、アディは真っ直ぐヴェルファイアを見上げた。

    それは、街道にたむろしていた、ゴブリン共を屠った後のことだった。
    アディは、最近ヴェルファイアが雇われている覚者だ。まだ幼さの残る少女で、最近覚者になったばかりだという。
    彼の主と比べれば、感情表現は希薄だが、真っ直ぐなまなざしをした少女で、最近剣をにぎったばかりだというのに、どんな敵にも臆することなく飛び込んでいく。
    それが、彼女のメインポーンのウィスタリアからすれば心配の種のようだが、これから経験をつめば、そこらの兵士には負けない剣士へと育つだろう。
    そう、思っていたのだが……思いがけない問いかけに、ヴェルファイアはまじまじと、アディを見る。

    「どうしたら──それは強くなる手段ということですか?」

    質問の意図を計りかねて、ヴェルファイアは問い返した。

    「うん、まあ、そうかな」
    「覚者様は女性ですし、筋力や体格から見ても私と同じようにというわけにはいかないでしょう」
    思ったままを応える。

    「ま、そうだよね」
    そう応えると、アディは少し肩を落とした。

    ……がっかりしたのだろうか?

    だが、強くなる方法と言われても、ヴェルファイアには見当もつかない。
    アディは自分のことを「本当に強い」と言った。彼女に自分の姿は、そう見えているのかと思うと、不思議な気持ちがした。何も、特別な事をしたわけではない。自分はただ、すべきことをしてきただけだ。

    ヴェルファイアの覚者は、戦う事より、カサディスで魚をとり、織物をして暮らす方が似合ってる、そんな人だった。

    剣を握った事もなく、旅に出た当初は、ゴブリン相手にも苦戦した。特に、盗賊や人と戦うのが苦手で、敵を敵と思えず、それで危機に陥ったことも一度や二度ではない。
    剣を握る手はいつも震えていて、自ら敵に飛び込んでいくアディとは正反対だった。

    だが、それでも、彼の覚者は先に進む事をやめようとはしなかった。
    震える手で剣を振るい、時には立ち止まり、ゆっくりではあったが、先に進む事を選んだ。

    だから、決めたのだ。
    あの方が先に進むというのなら、自分が向かってくる刃の盾となり、剣となって道を切り開こうと。
    決して、あの方に敵の刃が届く事のないように。
    決して、傷つくことがないように。

    そして、彼はただ己の主を守るために剣を振るい、誰よりも多く敵を屠ってきた。
    自分がしたのは、ただ、それだけだ。

    「強くなる方法というのは私にも解りません。私はただ多くの敵と相対してきただけです」
    静かに、自分の思った事を伝える。
    「つまり、たくさんの敵と戦えば、それだけ強くなれるってこと?」
    アディが、希望に満ちたきらきらとした目で、ヴェルファイアを見上げる。
    「そうとばかりは言い切れませんが、数を多くこなすことで敵の動きや攻撃パターンは見えてくるでしょう。そうすれば対処の仕方もまた自ずと理解できます」
    おそらく、この幼い覚者に足りないのは経験だけだ。
    敵に飛び込んでいく度胸もある。戦おうという気迫もある。
    あとは、時間と経験が彼女を一流の剣士へと育てるだろう。

    「今は、助けてもらってばかりだけど…いつかは足を引っ張らずに戦えるようになりたい」
    そう言って、真っ直ぐアディはヴェルファイアを見上げる。

    ふと、いつかの主の姿が重なった。
    彼が初めてロストした時に、主は泣きながら同じことを言った。
    足を引っ張らないで戦えるになりたい、と。助けてもらうばかりじゃなく、守れるようになりたいと。

    覚者とはそういうものなのか。

    押し黙ったヴェルファイアを、不思議そうな表情でアディが見上げる。
    「……私、何か変なこと言ったかな?」
    「いえ……では、その時を楽しみにしています」
    多分、それはそんなに遠い未来ではないだろう。
    アディもメインポーンのウィスタリアも、どんどん実力を上げているのは見ていてわかる。グランシスに住む魔物なら、すぐに彼らの敵ではなくなるだろう。

    ちらりと、ヴェルファイアはアディの横顔を盗み見る。
    遠い未来を見つめている、少女の瞳。
    少女の思い描く未来は、すぐそこ、だ。
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