白い鎧と赤い頬「ランちゃーん!」
俺が帰城し、陛下への報告を済ませてから騎士団長室へ向かい階段を上っていると、ヴェインの足音が背後で響く。歩幅の大きな重量を感じさせる音。金属の触れ合う音が賑やかだ。
振り返ると、階段のいちばん下でヴェインが目と口を大きく開けていた。
感動に打ち震えている時によくする顔だ。子供の頃から瞳をキラキラさせて、俺を見つめてくる。
「うおおぉ〜! 本当に白い鎧だー!」
新しい鎧は、王国フェードラッへを守護する妖精――まだ確証は得ていないけれど――の試練を受け、授かったものだ。
一緒にカムランへ調査に出掛けた団員から「ランスロット団長が新しい鎧と剣を手に入れた」とでも聞いたのだろう。
俺は素晴らしい双剣を早くヴェインにも見せたくて、階段を一段下りた。
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