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    きみどり

    @kimi_0812

    かきかけ途中のログ投下場所なので、完成したものはpixivに体裁整えてまとめています。
    詳しい事はプロカを見て下さい。
    TRPGは全部ワンクッション入れているので、閲覧は自己責任。
    リンク一覧:https://lit.link/gycw13

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    きみどり

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    前半凪茨、後半EveによるAdamいじりでわちゃわちゃ。書きたいところだけ書いてる。
    凪砂くんのくっそ真面目な独占欲ましましな台詞が書きたかったやつです。

    #凪茨
    Nagibara
    ##底なしのこころ

    「もう、俺……疲れました。どうしたら、いいのか分からない、です」

    ゆっくりと椅子を引かれ、正面に凪砂が立つ。何をするのかとぼんやり力無く眺めていたら、突然凪砂の腕が両脇の下に差し込まれ、よいしょ、という掛け声と共に抱きかかえられる。ビクリと肩を震わせたが、そんな反応なんてお構い無しに、抱きかかえたまま、凪砂は副所長室に設えているソファーに腰を下ろす。
    「かっ……か、?」
    「ちゃんと疲れたって言えて、えらいね、茨。初めて聞いた気がする」
    ぎゅっと抱き締められ、右耳から優しい言葉がテノールに乗って流れ込んでくる。
    「……大丈夫。つまづいて転んでしまって、茨が立ち上がれない時は、私が手を引いてあげる。日和くんや、ジュンも一緒に支えてくれる。同室のつむぎくんや天満くん、翠くんだってそう。同じ事務所のValkyrieや2wink、Crazy:B、それにTrickstar。沢山の人達と茨は言葉を交わして関係を作ってきたんだ。心配する事なんて、何にも無い」
    とんとん、と鼓動と同じリズムで大きな凪砂の手のひらが背中を優しく叩く。気分が落ちつくのと同時に、安心が込み上げてきて、視界が滲む。それに気付かれたくなくて、胸元を乱暴に掴み肩口に額をぐいと押し付けた。
    「周りに……誰が居ようとも、アンタ、の隣じゃないと意味、ないんだよ……」
    反射的に口をついて出た言葉に、凪砂は暫く黙っていたが、ふふ、と笑みをこぼし腕の中に閉じ込めた唯一無二の相方を抱き締める。
    「……私の隣に、茨以外の誰かを許した覚えは無いよ」


    ***


    「という訳でッ!自分、絶賛不眠症らしいです!!!まぁ、話したところで症状が解消されたり、緩和される訳もないんですがね!!!あっはっは!!!!」
    「疲れてるねぇ、茨」
    「……うん。原因を取り除いてあげたいけど、外傷と違って目に見えないし、一朝一夕で思考は変わらないから難しいんだよね」
    「とりあえずぶっ倒れるまで身体を酷使すれば、清々しく寝れるんじゃないんですかぁ〜?」
    「既に試しましたが、眠れやしないし、その後の日中は地獄でしたよ!!!!」
    事務所の小会議室で和やかに交わされる会話は、不眠症を打ち明けた茨に、どうやったら良質な睡眠を取る事が出来るのか?というセンシティブな情報が盛り沢山の作戦会議なのだが、傍から見れば「ビッグ3の一角、Edenの打ち合わせ現場」だろう。今まで作り上げてきたユニットのイメージ、そしてプロデュースした茨の賜物と言っても過言ではない。
    「じゃあ、確認だけど……茨は病院に行く気は無いって事でいいんだね?」
    「えぇ。医療行為を否定する訳ではありませんが……事実を知る人が増えるという事は、それだけ情報が出ていく口を増やすことになります。各ユニットの皆さんも精力的に活動して頂いてますが、コズプロの印象が回復したとは言い難いのも事実です。自分が頻繁に病院に出入りしている、というだけで、何かしら火の手が上がりそうな気がしなくもないんですよね」
    「……それに、茨は事務所のアイドル代表でもあるからね。隠し通そうとすると、どこかで無理をしなければならない時が来ると思うんだ」
    「ナギ先輩も、それで良いんです?」
    「うん、茨とちゃんと話し合ったからね。2人を説得するための台本の台詞なんかじゃない、私の本心だよ」
    「なら、良いんじゃないんすかね。オレはちゃんと考えて決めた事なら文句ないですよぉ〜」
    おひいさんは?とジュンが視線を向ければ、眉間に皺を寄せ、小言を言いそうな「納得がいかない」という表情を作っていた。
    まーた意地の悪い事考えてんな、この貴族様は。と、ジュンは内心ぼやきながらもその片棒を担ぐ。日和もジュンも、当たり前だが茨の事を心配していたのだ。何かあれば相談に乗ってやろうとか、色々と、あれこれ考えていたにも関わらず、2人だけで話し合って事後報告とは、あんまりではないかと。
    「Adamの2人の言い分は分かったね。ジュンくんも、2人で出した結論ならいいって事だね?」
    「そうっすね。まぁ、オレ個人として……なんで、勿論Eveとしては別っすよぉ〜?」
    「ふふ、ジュンくんはぼくをとぉ〜ってもよく理解してくれてる良い子だねぇ。さて、茨、凪砂くん、これは2人だけの問題?違うよね?」
    日和の優しい菫色の瞳が、スッと細められる。纏う雰囲気がひやりと冷たいものに変わり、茨も凪砂も背筋をピンと張る。その様子が可笑しくて、ジュンは真剣な表情を崩さず、笑いを噛み殺していた。
    互いに何かを示し合わせた訳では無いが、多少なりともAdamの2人(主に茨)に腹を立てているので、気晴らしに軽い即興劇を仕掛けてみれば、ノリノリで日和が乗っかってきた。この空気なら、もう独壇場でしかない。
    日和が不満をこれでもかとぶつけ、ジュンの心も代弁し、気持ちがスッキリした所で、破顔する。あまりの変貌っぷりに、Adamの2人はどうしたらいいか分からず戸惑っているのがまたおかしくて、我慢出来ずにジュンは噴き出してしまう。
    「こらっ、ジュンくんもう少しの辛抱だったのに、我慢できないなんて悪い日和っ!」
    「いや、だって……茨も、ナギ先輩も、おひいさんをどうしたらいいか分からなくて戸惑ってんのめちゃくちゃ面白くて……!」
    「とにかく、後は茨次第だね。生放送や拘束時間の長い仕事は自分でうまくコントロールしておくこと。何なら、ぼくたちEveに任せておくといいね!完璧にこなしてあげるから」
    「……ありがとう、ございます」
    しおらしく、感謝の言葉を伝えてくる茨を見て、思った事がふいに漏れてしまう。
    「かわいい……」
    「あげないよ?」
    間髪入れず言葉を挟んできた凪砂に、思わず笑ってしまった。
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