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    きみどり

    @kimi_0812

    かきかけ途中のログ投下場所なので、完成したものはpixivに体裁整えてまとめています。
    詳しい事はプロカを見て下さい。
    TRPGは全部ワンクッション入れているので、閲覧は自己責任。
    リンク一覧:https://lit.link/gycw13

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    きみどり

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    凪茨ベッドでいちゃいちゃ(2回目)。耳責め。まだ未遂だよ!!!!!!

    #凪茨
    Nagibara
    ##底なしのこころ

     次のプランは決まった。目標となるライブの企画と本格的なレッスンは戻ってから取り組むので、それまでの数日は存分に羽を伸ばしてやろうと茨は気持ちを切り替えた。
     凪砂にあれこれ誘われた事は積極的に取り組んだし、無駄な抵抗もやめた。ライブの企画立案やレッスンで過密スケジュールになるのは目に見えていたので、恐らく自由になる時間は今だけ。その前に『やれるだけの事はやっておこう』精神だ。
     今日も今日とて目新しい事はなく、二人はストレッチと基礎トレーニングを終えて一息ついていた。
    「閣下、どうぞ」
     タオルと、冷えたスポーツドリンクのペットボトルを手渡し、凪砂の隣に腰を下ろす。
    「……ありがとう。茨、調子はどう?」
    「本調子と言っても差し支えは無いかと。体力もそれなりに戻ってきたと思いますので、後は実際に合わせてみてから、でしょう。帰ってから、忙しくなりますよ〜」
    「……そうだね。こうやって……、二人で過ごせる時間も、減ってしまうね」
     視線は部屋の天井辺りを見つめていて、覗き見た横顔から凪砂の感情は読み取れない。ただ、寂しそうな声で話すな、という直感だけはあった。
    「秀越学園の、専用ルームが懐かしいですか?」
    「……言われてみれば確かに。あそこは、いつも私たち二人の部屋だったね」
     学園で過ごした日々を懐かしんでいるのか、表情は穏やかな笑みに変わる。あ、やっぱり変わったな、と茨は確信する。
     台本によって与えられた役割を演じるだけでなく、劇団で他人の人生をなぞらえたり、そもそも自我がめばえ『乱凪砂』という個が確立されてゆく。
    ――俺にできる事は、あと何が残っているのだろう
    「……いばら、茨? 聞いてる?」
    「えっ、あぁ、失礼しました閣下! 何でしょうか?」
    「ここから戻った後も、こんなふうに茨と一緒に過ごす時間が、欲しいなって話」
    「何を仰いますか。閣下直々のご命令とあらば、自分の時間なぞいくらでも差し上げます!」
    「……ううん、これは命令じゃなくて、お願い」
     普段以上に迫ってくる凪砂に、思わず茨は後ずさる。それを追いかけるように、凪砂は更に迫る。
    「茨のプライベートな時間を、私にちょうだい」
    「それ、は……、今、返事が必要ですか……?」
    「……ううん。私は待つよ……でも、そうだね、ここから帰ったら、返事を聞かせて欲しい」
     じゃあ私、シャワーを浴びてくるね。そう言って立ち上がり凪砂は浴室へと向かった。部屋に一人残された茨は四肢を投げ出し床に大の字になる。
    「あーーーーっ! くそ、何なんだよ、もう……」
     後悔をしても、既に手遅れ。まぁ、後から悔やむから言葉通り後悔なのだが、回答の先延ばしという悪手を選んでしまった事に茨は改めて後悔する。
     今、答えが出ない事を期日まで考えなければならないだなんて、まるで呪いだ。『待ってる』と言っていたが、乱凪砂は何もせずに大人しく期日を待つような人物ではない事を茨は嫌という程知っている。
     今晩、絶対に何か仕掛けてくるはずだと踏んで、何が起こったとしても心構えだけはしておこう。虚をつかれ、足元をすくわれる間抜けな戦法に呑まれるわけにはいかない。
    「んぁ……、かっ、か……近! こえ……がっ!」
    「……ふふふ。茨の耳、真っ赤になってる」
    「ーーーーーーっ!」
    「……そんなに唇を噛んだら、痕が残ってしまうよ」
     凪砂の彫刻のように整った綺麗な指が茨の下唇をなぞる。けれど、頑なに茨は口を閉ざし続ける。そう、凪砂のペースに呑まれるわけにはいかないのだ。
     レッスン後、いつも通り昼食を終え、午後もゆるりと今後の事について話をした。あまりに仕事に寄った現実的な話を茨がし始めると、もっとこれから先の未来、夢について話そう? と、やんわり窘められた。夕食も終わり、風呂に入った。一日の終わり、凪砂に招かれるように茨はいつもの定位置に収まった……のがマズかった。

     初日、あんなにも警戒していた筈なのに、眠りに落ちる茨に凪砂から与えられる暖かなものが存外に心地よく、そして嫌なものではなかったため、受け入れて、当たり前になってしまった。
     『絆されてしまった』と言えば、その通りとしか答えようがない。気付けば、いつの間にか許していない所まで入り込んできて、茨の弱い部分に触れてくる。いや、入り込んでくる、というよりも、気付いたらそこに居るのが当たり前になったのだ。
    「お、お願いですから……耳元で喋らないで下さ、ぁ……んぅ、ちょっと、人の反応で楽しまないでください!」
    「……楽しんでいるというより、かわいいなぁって思っているんだけど」
    「はぁ? かわ、な、何言ってるんです……!」
     言葉の通り、一緒にベッドへ横になり、延々と凪砂は茨の耳を執拗に責めていた。ただただ、耳元の近くで囁き、時折触れて微かな刺激を与える。その繰り返しだった。むず痒い様な淡い刺激は決定打にならず、徐々に茨の中に熱が溜まる。
    「く……ぅ、んっ……ゃ、だぁ……」
    「……そう言う割には、気持ち良さそう」
     すり、と茨の右耳に触れ、耳の縁を指の腹でゆっくりなぞる。人差し指を耳の穴に差し入れ、くるくると回せば茨は「ひん」と小さく喘ぐ。
    ――もっと、もっと、茨の色んな表情が見たい。
     凪砂の心はそんな好奇心に突き動かされていた。ライブの時に見せた怒り、深夜にどうすればいいのか分からず縋りついてきた姿、悪夢の恐怖に怯え伸ばしてきた手、父のことを語る自分を愛らしいと言ったこと、自分の立つ舞台を作ると目を輝かせながら語ったこと……思い返せば様々な茨の表情を見て、凪砂の心は揺れていた。自分が抱えるこの感情の名前は、未だに分からないままだが、悪いものではないという確信はあった。
    「……いばら、私に見せて、ありのままの君を。隠さなくていい、剥き出しの感情をぶつけて。全部、ぜんぶ、私が受け止めてあげるから」
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