てのひらの熱のゆくえ「倉田さん、こっちこっち」
「あっ、美咲さん……! こんにちは」
日曜日、駅前。集合場所に着いて休日の人混みに早々に巻き込まれていた私は、手を振って呼ぶ美咲さんの声に引っ張られるようにして駆け寄った。
少しだけ電車で乗って行ったところで行われる、ふわキャラのイベント。一人で行くことも出来たけど、美咲さんのことをふと思い出して声を掛けてみたら一緒に行こうと言ってくれた。
「じゃあ、行こうか。混んでるから気を付けてね」
「は、はいっ」
今回先輩である美咲さんと出掛けることになったのは、なんというか、成り行きというか、紆余曲折あったのだけど。
それでも美咲さんにも楽しんでもらいたいし、今日は私が頑張らなくちゃ……!
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