痛みを我に「まさか…」
信じられない、というようにヒュンケルはポップの顔を見た。
「ああ」
対するポップは腕組みをして、不敵な笑みを浮かべている。
「闇の精霊と、契約した」
「……」
ヒュンケルは精霊や魔法の類いには詳しくない。しかし光と闇両方の闘気を使った経験はある。
いかに大魔道士とはいえ、闇の精霊などというものと契約して、大丈夫なのか?ポップの体に負担はないのか、闇に取り込まれるなどということが、万に一つもないのか。
かつて自分が飲み干した闇の杯のことが頭を過ぎる。
様々な疑問や危惧がヒュンケルの胸に去来し、どう反応したものか考えあぐね、結局押し黙るほかなかった。
「安心しろよ」
ポップが口を開いた。
「そもそも精霊には善も悪もないんだよ。ただ、人間に利するかどうかで、おれらが勝手にそう呼んでるだけなんだ」
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