君と存在証明「俺の目は『兄様』に似ているんですか?」
ソファの上で身体を丸めて眠る兄様をスケッチしていたら、いつの間にか、閉じられていたはずの黒曜の色が、ばちりと私を捉えていた。
「それとも、目以外も似てるんでしょうか」
似ているどころではない。一目見た瞬間に「そう」とわかった。
「あんた、俺以外に人間なんかほとんど描いていないでしょう?」
「他の絵も見てくれたんですね。嬉しいです」
「質問に答えろよ」
過去に描いた絵や、スケッチブックの置いてある、物置部屋へ出入りされていることは知っていた。けれど「何が描かれているか」にまで興味を持ってくださったことは、正直意外だった。だからこれは素直な感想だ。
「私が一番、貴方を上手く描ける」
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