それは、そう、たまたま、『たまたま』見えてしまった。何も自分が故意に見ようとして見てしまったわけではない、決して――。ガイは心の中で己に対して言い訳をした。
宿屋でルークと同じ部屋になったある日。ガイは自分に宛がわれたベッドに座り、自分の剣の手入れをしていた。まずは用意した布で表面を磨く。手入れを怠れば切れ味も悪くなり、それはすなわち自身を危険に晒すことになる。そして何よりも無心になれるため、ガイは手入れの時間を好んだ。
目の前の窓をちらりと見れば既に外には漆黒が広がっており、このまま吸い込まれてしまいそうだとも思ってしまう。一人ならばこの闇に飲まれそうになることもあるだろうが―少なくとも今のガイにはその心配は無用だ―、この部屋には、ガイの隣にはルークがいる。
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