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    イチイ

    落書きとss、平家の公達を攻略する乙女ゲームの制作進捗。BLと乙女ゲ進捗にはワンクッションあり。

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    イチイ

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    『礎』
    お題:「悲しい笑顔」
    ※義経最期

    ##平泉

    『礎』


    義経どのは父上の仇をとったら、そのあとはどうなさるのですか。

    幼い泰衡の言葉に、義経は大きく目を見開いた。

    ──そのあと?
    ──そのあとです。

    訝し気な表情へとうつってゆく、まだ幼さの残る泰衡の顔を見るともなく見る。
    ──考えたこともなかったな。
    けれど答えはひとつ。

    「源氏の世が来るように、はたらくよ」





    したためた書状の甲斐なく、義経はいま再び平泉の地に足を踏み入れた。
    平泉は変わらずやさしく義経を迎え入れてくれる。
    可愛げのあった泰衡の表情が大人びたことだけが、違っていた。

    「義経殿、よくぞ帰られた」

    “帰る”という語を使い御館が朗らかに笑う。
    抱くように背中を叩かれて、義経も笑った。
    それを見た泰衡が顔を背けたのを、目の端に捉えた。



    自分は恵まれていると、義経は思う。

    ──だってほら、平泉の役に立てるのだから。
    炎に包まれる衣川館の中、義経は懐剣を手にじっと座っている。

    泰衡の声が聞こえる。
    自分の名を呼んでいる。
    出て来いと、館だけ焼けば済むと聞こえる。
    あとはどうとでも任せておけと。

    「私は、源氏の世が来るように、はたらくよ」

    自分は恵まれていると、義経は思う。

    ──だってほら、源氏の世の役に立てるのだから。
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