イチイ☆quiet followDOODLE義経炎の中 ##義経 Tap to full screen (size:600x600).Repost is prohibited Let's send reactions! freqpopularsnackothersPayment processing Replies from the creator Follow creator you care about!☆quiet follow イチイDOODLE知章くんラフ イチイDOODLE義経炎の中 イチイDONE『礎』お題:「悲しい笑顔」※義経最期『礎』義経どのは父上の仇をとったら、そのあとはどうなさるのですか。幼い泰衡の言葉に、義経は大きく目を見開いた。──そのあと?──そのあとです。訝し気な表情へとうつってゆく、まだ幼さの残る泰衡の顔を見るともなく見る。──考えたこともなかったな。けれど答えはひとつ。「源氏の世が来るように、はたらくよ」*したためた書状の甲斐なく、義経はいま再び平泉の地に足を踏み入れた。平泉は変わらずやさしく義経を迎え入れてくれる。可愛げのあった泰衡の表情が大人びたことだけが、違っていた。「義経殿、よくぞ帰られた」“帰る”という語を使い御館が朗らかに笑う。抱くように背中を叩かれて、義経も笑った。それを見た泰衡が顔を背けたのを、目の端に捉えた。*自分は恵まれていると、義経は思う。──だってほら、平泉の役に立てるのだから。炎に包まれる衣川館の中、義経は懐剣を手にじっと座っている。泰衡の声が聞こえる。自分の名を呼んでいる。出て来いと、館だけ焼けば済むと聞こえる。あとはどうとでも任せておけと。「私は、源氏の世が来るように、はたらくよ」 544