揺籠 明るい光が顔に掛かる。どうやら今日の天気は晴れている、らしい。身長よりだいぶ高い所に在る格子の嵌められた窓を見て思う。
この座敷牢に入れられて何日が経っただろうか。最初のうちこそ律儀に日数を数えていたものの、数えるだけ気が滅入るとやめてしまった。今はただ、此処で静かに座っていることしか出来ない。
ガチャリと南京錠が外される音がしてこの座敷牢が在る土蔵の扉がギィと開いた。
「いい加減明け渡す気になったか?」
逆光で顔がよく見えないが、声で分かる。コイツが私を此処に閉じ込めてる主犯だ。その背後には部下と思われる式神の類が二人いる。
「何度訊かれても同じです。私は私の本丸を明け渡す気は無い」
この主犯の男、名も知らないが、どうやらそこそこ高位の陰陽師の家系らしい。その名に箔を付けるために審神者として優秀な成績を残している私の本丸を明け渡せと詰め寄ってきた。嫌だと拒否をすると式神を弄して私を此処に閉じ込めては毎日本丸を明け渡すように要求してくる。
6169