一虎は世界の中心から脱却したい 千冬は悩んでいた。未だかつてないほどに。だって、初めてなのだ。まさか自分がこんな体験をするなんて思ってもいなかった。だってだって、それって所詮は物語の中の話で、もしくはテレビの中の自分とは決して関係のない出来事で。そう思っていたんだ。
まさか、俺が……?いやいやいやいや、あり得ない。あり得な過ぎて、もしかすると…と口にするのも憚られる。ていうかはずい。え?勘違い野郎じゃんウケるとか言われた日には地下深く穴を掘って俺は生涯そこに住む。
て、ぐらいにはあり得ない事態に直面している千冬であった。
「分かったから、ぜってぇウケるとか言わねぇでやっから、ほら言ってみ?いい加減飽きてきたから」
「酷いです、一虎君。追い出しますよ」
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