【五夏】転生して再会した五夏が永久指名に至る話【小説】 安いプランでも一泊20万はするらしいラグジュアリーホテルのラウンジは、ただのコーラすらやけに美味しく感じる。ソファー席で背もたれに思い切り体を預けて、五条は持ち上げたグラスを見つめた。ラウンジの雰囲気に乗せられたが故の錯覚だとは思うが、何度連れてこられても美味いのには変わりがなかった。ところが今日は、いくら飲んでも味がしない。どんなにしげしげと眺めてみても、コーラといえばこれだと言わんばかりに、記憶通りの泡の弾ける茶色の液体がグラスの中で揺れるだけ。似ているだけの別の何かが入っているのかもしれない。夜のラウンジの気取った薄暗さの中では、本当のところはよくわからない。
「コーラ好きねえ。美味しい?」
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