男3人で寝るにはあまりにも狭すぎるシングルベッド。壁の方から新、彰人、冬弥の順で、新と冬弥は彰人に抱きついている。何でこんな状況になったのかなんて、彰人の眠気でぼやけた頭は何も思い出してはくれなかった。
「東雲くん、もっとこっち来て。」
新が腰に回した腕の力を少し強めて、彰人の体を引き寄せた。そして、空いた手で彰人のふわふわとした猫っ毛を優しく撫でた。
「ん…」
意識がはっきりしている時の彰人なら、何するんだと手をはたき落としていただろう。しかし、眠気で脳がほとんど仕事をしていない今は、頭を新の手に擦り付けて、気持ち良さそうに目を細めた。
「ふふ、可愛い。」
新は愛しそうに微笑んだ。その様子を見た冬弥がむっとした表情になる。
「彰人。」
今度は冬弥が、自身の体をさらに彰人にくっつけ、彰人の項に顔を埋めた。
「とーや、擽ったい……」
さらさらとした冬弥の髪が当たって小さく身を捩っていたが、密着した体から伝わる体温が心地よかったらしく、されるがままになっていた。数分後にはそのまま目を閉じて寝息を立て始めた。
「あ、寝ちゃったかな。」
「みたいですね。」
「寝顔、ほんと可愛いなぁ。」
「次寝るときは、俺に正面譲ってくださいね。」
「次は俺と東雲くんだけで寝るから。」
「いいえ。俺と彰人で寝ます。」
彰人を挟んで小声で言い争っていると、二人の間から小さく声が上がったため、二人は慌てて口を閉じた。
「起こしたら悪いし、寝ましょう。」
「そうだね。…俺、東雲くんを譲る気はないから。」
「彰人は、絶対に俺のものにします。」
お互いに何度目か分からない宣言をして、新と冬弥も眠りについた。