みたびのまたたび(仮)息苦しさに、ふと目が覚める。
ふわふわと温かく、優しい匂いのする何かに抱かれて眠っていたようだ。意識が覚醒してゆくにつれ、いつぞやかの既視感もが鮮明になってくる。まさか、と思い、何かが目を覚まさぬよう、敷布から恐る恐る顔を出す。
あぁ――やはり、また。
隣には立香が幸せそうに、すやすやと寝息を立てていて。私は彼女と同衾している状態となっていた。おまけに、全裸で。
「やぁ、起きたね」
「ぱぱ。はやく、ふくきて」
背中越しに、一番見られたくなかった二人の声がする。両者ともに涼し気な声なのだが、一方は楽しげに、もう一方は本気で冷ややかな音を滲ませている。つらい。
だが今回で三度目の発作ゆえなのだろう、私の着替えと監視役が万全になっているコトだけは、本当に幸いだと思った。
「……ごめん。まず、シーツを貰えないだろうか」
恐らく、弱体化――つまりは猫になっている状態――を己が認識するコトが鍵となるのだろう。そこを経て、弱体化を受けてからの昨日、ひいては昨晩の失態の記憶を、ヒトとしての私に付与されるのだ。
「良かった……元に、戻ったんだねぇ……」
監視役達の見張りの許、シーツで腰巻きを作ってから、もそもそと着替えはじめていた最中で、現状の背中側から声がした。