形のない猫のしっぽ 此処は何処だろう。真っ白で何もない。リッパーは以前を思い出そうと、気付けば歩んでいた足を止めた。
昼飯を食べ、ゲームをし、夕食を食べ……思い出せない。何か大切なものを忘れている。このぽっかりとした感覚にこれが夢だと気が付いた。夢はいつだって何かが足りない不完全な世界だ。
歩き始めればあたりがふわりと弾んでパステルカラフルに染まる。
ああ、実に夢らしい景色だ。
「楽しそうだな」
パッと青色が躍り出た。空に浮いているのは猫耳を生やしたつり目の男。知っている。これは、何処かで見た時の。
「……ナワーブ?」
「お前は恋人の区別もつかないのか?ばーか」
「ばっ……!なんです、貴方そういう衣装持っていたでしょう」
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