クリスマスの良い子へ「メリークリスマス!」
そう言ってプレゼントを配る荘園の仲間たちの中にアイツもいた。普段の暗めな衣装と対照的な白い服を纏い、顕になった口元でニコニコとしている。
「ナワーブさん、プレゼントなの!メリークリスマス!」
「メリークリスマス。ありがとな」
受け取って礼を言えばエマは嬉しそうに笑ってレオの背に抱きつきに戻った。ロビーが袋を開けて美智子に見せている。中身は菓子らしい。
荘園のクリスマスは豪華だ。ターキーを丸焼きにして、最後には大きな大きなクリスマスケーキ。仲間達と騒いだ後は大人の時間。この日の為に取っておいたいい酒を開ける。デミに毛布を掛けられて1日を終える奴も少なくないだろう。
俺はその集団から1人抜け出した。アイツが振り向く気配がする。それに構わず廊下を歩く。後ろからは余裕のある靴音が付いて来た。
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