百日詣「あら、霊幻さん」
お母さんの言葉にぱっと振り返る。
「え、師匠?来てくれたんですね」
「影山さん、お久しぶりです……モブ、いい結果だったみたいだな。おめでとう」
今日は、高校受験の合格発表の日だった。
「ありがとうございます」
掲示板に、自分の受験番号を見つけるまでは緊張でずっとお腹が痛かったけど、合格した、と分かると、案外あっけないものだな、なんて思った。というか、一緒に来てくれた律が僕より喜んで大泣きしはじめたから、なだめるほうに気を取られて、それどころじゃなくなってしまったのかもしれない。
「あ、師匠、見てください。師匠がくれたお守り……律も、あの後同じやつくれたんですよ。ほら」
僕はカバンに2つ付いた、学業成就のお守りを見せた。
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