1「(……疲れた)」
世の中の多くが毎週待ち望んでいるであろう週末の今日、久々に定時に帰れると準備していたら、
先方のミスと後輩の泣きそうな声に負け、今日も定時退社は見送りに。
一ヶ月ほど前に結婚した後輩を終電前には帰宅させ、折角の休みを仕事で潰してたまるかと業務を終わらせ職場を出れば、いくら賑やかな華金だとはいえ終電も過ぎれば辺りは閑散としていた。
気晴らしにコンビニでお酒でも買って帰ろうと歩いてると、『BarMostro』と鈍く光る
ネオンライトの看板が目に入った。
たまには外で呑むのもいいかと木製の扉を開けると、上部に取り付けられた鈴がカランっと
鳴り響いた。
店内は奥のテーブル席にお客さんがチラホラといるものの、静かで落ち着いた雰囲気の店だった。
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