形なく縛る「なあ、今日は泊まって行けよ」
私の腰に腕を回し、腹に顔を埋めて悟が甘えた声を出す。言葉と一緒にかかる悟の息は熱い。じんわりと湿った温度を感じながら一言「ダメだよ」と答える。
いつも終わったあとは酷くだるい。さっきまで悟を受け入れていたはずの身体は、急に何かが欠落してしまったようにスカスカした。
どんよりとした倦怠感の中で、私はすでに明日の予定に思いを馳せる。午前中は授業で、午後からは任務だ。そう遠くはないが車を小一時間走らせた先にある、古い洋館に棲みついた呪霊の祓除。確か難易度は高くないが、長らくその場に棲みついており狡猾で地の利を持っているため注意されたし、と渡された資料に書いてあった。
「ケチ」
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