悪魔に乗っ取られたブラッドをお清め3P「ッ、どうしたんだ、ブラッド」
突然床に叩きつけられた衝撃に思わず受け身を取る。今日は映画を観ながら酒盛りしようって事でキースの家に集まった。飲むことしか考えてなさそうなキースはソファの真ん中にどかりと座り、両脇にブラッドと俺。
それが手元のが空になったのを切っ掛けにブラッドと一緒に取りに向かった。キースは寂しそうだったが仕方ない。そして、何故かキッチンで勢い良く押し倒された。俺も完全に気を抜いていて油断してしまったのが悪い。不完全な受身だったせいで腰を打っちゃってちょっと痛いし、やっちゃったなと考えていると重みが乗る。
「ブラッド?」
返事が無いので寝ちゃったのかと思ったが薄く開いた瞳は輝いていて暗い中でも光っている。一応意識はあるのかな…?腰辺りに乗られてるから起き上がれない上、抜け出そうとすると力を込められてしまった。成人男性一人分、ブラッドはトレーニングで鍛えてあるのもあってそう簡単じゃない。俺は早々に諦めて助けを呼ぶことにした。
「キース!ちょっと来てくれないか」
「何か落ちた音したけど、怪我でもしたの」
「とにかく来てくれ」
呼び掛けるとキースは直ぐに来てくれた。ブラッドと俺の様子を見て合点したのか半笑いで近くの床に腰を下ろした。
「成る程な。こいつ酔っぱらってんじゃん、さっさと這い出ればいいもんだろ」
「それが上手く出られなくてさ、強引に退けたくなかったし。まあベッドまで連れてってくれば…」
分かったと頷いたキースが立ち上がりブラッドの脇に腕を通す。持ち上げたおかげでスッと重荷が無くなり、俺も起き上がって左右から支え一緒に寝室へ連れていくことにした。ボーっとしてるのか胡乱な表情を浮かべている。
「んぅ……?」
ぽすんとベッドに寝かせたブラッドのほんのり赤い顏を見つつ温めたピザを頬張る。いつもは泥酔ほどにはならないはずの冷静沈着な彼がどうしてという気持ちが強くてうんうんと悩んでしまう。ブラッドの呻く声にはっと現世に戻された。
「…こいつ顔きれーだな」
キースはそうポツリと呟く。
「え?」
「いや、だから」
ちびちびと呑んでいたグラスを置いてキースは語りだす。──酔っ払ってるな。俺は吐き出される素直すぎる言葉に口角がひくひくと動くのを感じる。キースはジェイやリリーと一緒だと正気を保てる程度に丁度いい酔い方をするのだが、酒を勧めて先に酔わない相手だとこうなってしまう。自分が潰れて何とも普段のキースから言うと『恥ずかしいセリフ』を自ら話すのだ。アルコールよりもLOVE&PEACE濃度100%の言葉に酔ってしまいそうになる。
「こいつ、重労働すぎだろ。民間の要請は多いし、一度は目を通さなきゃなんねぇし、サウスの復興も……オレでも出来ることってねーのかよ」
セクターが違うと出来る範囲が限られてるし、それが歯痒いっていうか、自分達のとこもあるから仕方ない部分もある。俺たちは親友だったとしても仕事の線引きはしっかりしておかないといけない。そこは分かってるけど──なんて愚痴るキースがめちゃくちゃ可愛い。俺はそういうラインを踏み越えたキースに助けられた部分もあり、此処に居られるのだから余計だ。……事務的な職務は協力的じゃないんだよなと苦笑しながら。
「こうやって寝てる時間も貴重みたい。今日は一緒に飲めて良かったな」
「だな。……あ、酒切れた。オレらももう寝るか」
「んー俺はまだ起きてるよ。片付けながら通販観てる」
「そか、じゃオレも起きてる。お前の監視」
「えー!」
カチャカチャと音を鳴らしてるとどうしてもテレビの音は聞こえにくい。でもテロップや商品紹介は全年齢向けに言葉を何回も繰り返す、分かりやすい構成で深夜なのもあって長尺で紹介してくれる。それで見てしまうんだと夢中に語ると手元を動かせと怒られてしまった。
「通販好きの理由は何時になっても理解できる気がしないわ」
「え!」と声を張り上げると再度注意され口を閉ざした。
「ハマった理由は分かってる、買うもんに文句言ってんだよ。量があり得ないほど多いだろ、怪しいのは駄目だって言った」
「それは、ごめん」
つい最近、都市伝説的なテレビショッピングで買ったチ~ゾンさんをこっぴどく怒られてしまったのだ。それも4㎏も。普段沢山使うとはいえ、外回りが大半な仕事柄毎食ハンドメイドな訳ではないし、これから作らされることになるであろうキースに「オレは知らない」と呆れられた。
「結局今日だって焼いてくれてありがとうございました……美味しかったです」
「お前の為のだからそりゃそうだろ」
素直なデレはあまりにも突然で、思わず胸がときめいた。嬉しい、と唇をくっ付けて愛を送り込めると自信満々だったキースは一瞬驚いた顔をしてから受け入れてくれる。律儀に眼を閉じるのが本当にかわいい。何度もかわいいと思っていても口に出すのは微妙な顔をされるので控えている。
腰のエプロン紐を解いて背中に手を這わし、近くのラックに掛けた。
「片付けは明日俺がやるから」
「……一緒にやる」
少しだけ残ったのは後回しにして衝動のまま酔いと照れが混ざった頬の紅を食む。有り難い言葉に「じゃあ起きるのも一緒じゃないとな」と返し、続きを早急に始めた。
壁際に押し付けて硬い尻を揉むとキースはどっちか理解したのか膝で俺の股間を押す。
「ローション今取ってこい」