クリスマスキスディノ2021 We Wish You A Merry Cristmas.
We Wish You A Merry Cristmas.
We Wish You A Merry Cristmas.
「アンドハッピーニューイー……♪」
オレは子どもみたいに楽しく歌うディノを見てこんな日だしと一緒に笑った。今日はクリスマス。街には大きなもみの木が堂々と置かれており、様々な装飾の最高点にスターが輝いている。寒いのに外出なんて嫌だって言ったのに連れられて柄にも楽しんじまってた。屋根にサンタがいる店なんてのもあってみんなが浮かれているんだと何となく赦されてる気分になる。
罪に苛まれてる訳は自分でもコレと云えるものはないが、まぁプライドの問題だろう。数年の間で全くなりを潜めたが。
ディノの歌を聞きながら、暖まってきて高揚したせいか公共の場だってのに手を繋いだ。互いに手袋越しだから触れる感覚だけが直接分かる。すると口ずさんでいた歌が聞こえなくなった。
「……キース、デート楽しい?」
何でそんなこと聞くんだと言いかけ、交わった指がぎゅっと締め付けられたのに押し黙る。気持ちを見せるために握り返した。
「……楽しいよ。お前は?」
「最高に楽しい!」
そして返される眩しい程に無邪気な笑顔。そうか、今みたいな恋人っぽいことしてやれてないなと思い返した。人間関係が初めて育って好きだと感じた相手だから、全てが初めてだ。プレゼントも用意してないし、デートも誘われなかったら寮に居たままだった。気を使わせてばっかで駄目じゃねぇか。
普段のテレビだったりのことを話すディノに相槌を打つばっかだった会話に口を入れる。
「あのさぁ、プレゼント、要るか?」
一瞬止まる空気。緊張して途切れ途切れになったのは正直カッコ悪いだろうなと焦る。
「……欲しい」
「ん?」
「プレゼント、欲しい!」
小声で聞き取れなかったのが大きく返ってきて驚いた。めちゃくちゃ握られてる。
「あ、いや、用意してねぇんだけど、何がいいか聞こうかと思って」
「えっ……。選んでいいの!?ど、どうしよう」
「何なら今から店に行くでも有りだし」
「うわ~」
予想以上に喜ぶ姿に照れてしまう。あれやこれやアイデアを出すものの決まらないのか結局キースがくれる物なら何だって大事にすると言われてしまった。そう言うディノの瞳が涙で潤んでいてこれまたどうしたと驚く。嬉しすぎてと真っ赤にした顔がはにかみマフラーで口元を隠される。
「っ、かわいいな」
「にひ、キースもかわいいし、カッコいいぞ」
極めて小さく呟いた言葉を聞かれてしまった。耳がいいな。くそ、恥ずかしい。
結局決まったプレゼントに呆れて物も言えなくなったが、同時にディノらしいとも思った。そのままマーケットに向かい買い物を終えた後寮に戻ったのだ。
プレゼントはキースの特製ピザ、クリスマス限定スペシャル!