トライ。 一九〇〇年代に終わりをつげて、悪夢のように夏が過ぎて心寂しい秋が終わったあと、冬とともについに輝かしい二十一世紀が到来した。だがそんなものは実際のところ世紀はただの区切りで、世紀の変わり目も結局は日常の続きだ。土木機械は二本足で立ったが、車は空を飛ばず、時間を巻き戻すすべもない。
ふざけた子供のまま悪人になった大人の悪ふざけは何人もの人生と命を奪い名のない男の死で忽焉と終わり、そしてまず建物が修復され、各隊にレイバーが戻ってきて、ただ一人が欠員したまま年を越して、特車二課は日常と仕事をこなしながら、他異の冬を過ごしていった。
しかしそれももうすぐ終わりのようだ。
しのぶが朝のミーティングを終えて隊長室へと戻ると、後藤が常と変わらぬ無表情のまま月間予定表に赤ペンで丸を書きこんでいるところであり、ああ、と声を上げた。
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