🌟が記憶喪失 その3「またソファーで寝ていただろう」
「…え」
いつものようにソファーで眼を閉じて時が経つのを待っていたはずなのに、いつの間にかベッドに横になっていた。それだけではなく、ベッドの側に腕を組んで怒りを露にしている彼がいた。
「眠れなくても良い、目を閉じているだけでもいいからベッドに入ってくれ」
そう言って怒りを納めた彼もベッドに入って来て僕の背中に腕を回して、ぽんぽんと優しく叩く。まるで小さい子をあやすように。
あぁ、これは、夢だ。
過去に実際にあった出来事を脳が勝手に再生しているものだ。
だって彼は僕だけを忘れているんだ。僕だけを忘れてもう半年も経っている。僕だけを忘れている以外の支障はないからもう思い出そうともしていないだろう。
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