Such a summer つう、と耳の下から首をつたって汗が流れる。暑い。じわりじわりと、細胞が死んでいくような感覚がある。俺でこれだけ暑いのだから、暑がりの汗っかきである杉元には堪ったもんじゃねぇだろうなと思ってしまって、あー、片想いなんてするもんじゃねぇなとサンダルを脱ぎ捨てる。室内に戻りベランダのガラス戸を閉めて、クーラーの直風を浴びながら今日の荷物の到着予定を確認した。
在宅ワークで他人と関わる頻度が特段低い俺が杉元と知り合ったきっかけは、杉元が運送業者の配達員だったからだ。
あれも確か馬鹿みたいに暑い夏の日、チャイムに応じてドアを開ければ随分な男前が荷物を抱えて立っていた。制服はいつも利用するところのものなのに、顔が見慣れない。うちの担当は初老の髪の薄い男だったのに。休みか何かかと考えながらサインをしていると、溌剌とした声が頭に降ってくる。
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