猫の日「ニャオ」
「ニャ、ニャニャッ」
……何やら、今日の旅館には……いつもより猫がたくさん集まっている気がしている。朝からミャオミャオと鳴き声がそこかしこから聞こえ、最上階の自分が寝泊まりしている部屋の前にも陽だまりを求めて猫が数匹丸まっていた。露台から下を見ても、テーブルの上や下にと、たくさんの猫がいる。
「……!?」
椅子に腰掛け、茶を飲んでいる男性が目に入る。それは紛れもなく弥怒が作成した衣服であり、それに袖を通しているのはもちろん彼の凡人、鍾離であった。
鍾離は茶を一口飲んではそれをテーブルに置き、膝の上に座っている猫の背を撫でている。鍾離は猫が好きだったのだろうか。テーブルに猫が登って来ても、それを見て行儀が悪いと叱責することもなく、にこやかに微笑んで手を伸ばしている。
1778