【魈蛍】酩酊の戯言「…………!?」
「嗚呼、良かった。魈、すまないが旅人を頼んだぞ」
いつもは冷静に伏せられている
金色の目が大きく開かれる。
それくらい、この光景は異様だった。
いつもの白いワンピースを中途半端に脱ぎ、黒いキャミソール姿になったまま鍾離の膝に座って笑っている蛍。
腹を膨らませて涎を垂らし眠っている白い塊は、その彼女の相棒。
机に突っ伏して寝ているのは恐らくモンドの風神だろう。
「これは……」
「あっ魈だ〜〜!!」
魈に気付いたらしい蛍は、花が咲くように笑い、
鍾離の膝からぴょん、と降りる。
ぎゅっと勢いよく飛びついてきた旅人を抱きとめつつ、
彼女から香る酒の匂いに顔を顰めた。
何が楽しいのか阿呆のように笑い続ける蛍にされるがままの魈が、チラリと呼び出した本人――鍾離を見る。
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