ひとくくり それはカズサ本部長の、嵐のような抜き打ち視察が終わってすぐの出来事。
「おみゃあは本部長の前でも凪いどるんじゃなぁ」
と、隊長に言われて、僕が思い返したのは吸対の人間になった当初のことだった。
「本部長って、どんな人ですか?」
と、僕が聞いた相手は、入隊当初の研修を担当してくれていたヤギヤマさんだ。
ヤギヤマさんは、研修が始まってすぐ僕だけに他の同期とは違う課程に進むよう指示をした。
それは皆が行なっている銃の扱いの類とは全く違い、吸血鬼の歴史に関する資料を読んでおいて欲しい、というもの。
その分厚い紙束をめくる僕に、
「休み休みで構わないよ、とても長いものだから」
と飲み物を差し出してくれた機会に、僕はさっきの質問をしたんだ。
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