清河を濁す 牛鬼ノ章 椿萱並茂・前ーーーあの冬の日、運命に出会った。
山陰の牛鬼の一族は古くより人間に神として崇められている。
奥宮の後ろに結界で隠された広い邸で一族は暮らしており、長の妻である玉依姫が巫女として長の託宣を一族だけでなく人間にも伝え代わりに供物を貰う。
表の社では眷属達が人間に紛れ神職として一族に仕えていた。
ある時結界から出て雪が積もる表の神社を雪を踏み締めながら散歩していた時、鳥居の前で青い雪の模様が描かれた白の着物を着た少女が雪遊びをしているのを見つけた。
少女がこちらに気づき振り向いた時、我は息を呑んだ。
腰までの美しく艶やかな黒髪に水木の花の髪がざりを着け、雪のように白い肌を寒さからか赤く染めた、海のような美しい青の瞳をした…まるで水木の花の精のような美しい少女だったからだ。
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