君は僕の運命だけど僕は君の運命じゃ無い 赤、赫、あかったらしい景色に網膜が焼ける。ロナルドはうんざりしながら地面を覆う糸玉を避けて歩いた。
今夜現れた頭ポンチ野郎の名前は吸血鬼「運命大好き」と言った。運命の赤い糸を具現化する特殊能力に支配された新横浜では、そこかしこに現れた赤い糸に塗れて大混乱に陥っている。人々は絡み合った糸にすっ転んだり、うっかり自分の糸を切ってしまったりするなどして、突然現れたか細い糸に翻弄され続けていた。
ちなみに元凶は既にロナルドが拳で沈めているのだが、能力が解除されても糸は夜が明けるまで消えないらしい。幸い糸そのものは人体に影響はないし後遺症も特にないとのことらしいが、とはいえ糸塗れな街を放っておくわけにもいかない。そういうわけで、今夜は退治人も吸対も総出で糸の後始末に駆り出されることとなった次第である。
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