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    さくま

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    さくま

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    高校の修学旅行、4つのルートから選ぶように言われたのですが、ロナルドくんたちの高校はどうだったのでしょうか……。

    #半ロナ
    half-lona

    兄貴は笑って「楽しんでこいよ」と言った。2日前に配られた紙をぼんやりと見る。
    修学旅行ルート希望表。
    ……何でみんな共通の場所じゃないんだろう。
    例え、中学と同じ場所だったとしても、文句なんか言わないのに。
    中学と高校じゃ、行くメンバーも違うのに。

    親代わりとなり、俺とヒマリを育ててくれた兄貴を困らせないように、少しでも旅行費を減らした方がいいのは分かっている。でも。
    1番安いコースを選んだ人はあまりいないみたいなんだよな……。俺が仲良いと思っている人たちは、みんな北海道を選んだみたいだけど。
    北海道は旅行費が倍近く違う。

    兄貴に言えばきっと「お前がそんなつまらんことを気にするんじゃにゃあ」と笑って言うに決まっている。だからこそ、選びにくい。修学旅行に行かないという選択肢は無いんだろうか。

    「何だロナルド。まだ提出してなかったのか」

    ぐるぐると考えていたせいか、半田が近くにいたことに気づかなかった。

    「あ、ああ。……半田はどこを選んだんだ?」
    「俺は北海道だ!お母さんに素敵なお土産を渡すために行くのだ!」

    俺もこんなふうにしっかりしていれば良かったな。

    「……。ロナルド。ボールペンを持っているか」
    「ボールペン?あるけど」
    「貸せ」

    半田の考えが全く分からないが、ペンケースから黒のボールペンを取り出して渡す。
    すると手元にあった修学旅行ルート希望表の「北海道ルート」に勝手に貸したボールペンで丸をつけられた。

    「何するんだ、お前!」

    俺が呼び止めたのにも関わらず、半田は勝手に丸をつけた紙とボールペンを持って廊下へと出て行く。

    「貴様がいつまでもグチグチと悩んでいたようだったから俺が決めてやったまでだ!」
    「いや、だから何でお前が勝手に決めるんだよ!」
    「そんなの決まっているだろう!」

    職員室に向かって歩いていた半田が、俺の問いに振り向き、しっかりと俺の目を見て応える。

    「貴様がいなければ、俺の修学旅行は楽しくないからだ!なぜなら俺は将来、貴様を監督する立場だからな!」
    「な、何だよそれ」

    悩んでいたのが嘘のように、半田の言動で笑いが込み上げてきた。
    いつも半田は俺の予想をはるかに越える行動をしてくる。こいつといたら、俺はこの先きっと退屈しないだろう。

    「待てよ半田。俺も一緒に行く」
    「元々は貴様のだろうが!」

    気持ちが軽くなり、半田の後を追って廊下へと出た。

    帰ったら兄貴に修学旅行について言おう。
    全力で楽しんでくるから、お土産期待しててって。
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    tsugu_tsugu1123

    MAIKING逆転ドラロナの甘いだけの話を書きたいなぁと思って・・・。ページ数すげーーーー少ないかもしれませんができたら本にしたい・・・書き上げられればの話ですが(弱気)年齢制限ありにするかなしにするかまだ迷っている。
    タイトルは以前やった診断メーカー様より。
    https://twitter.com/tsugu_tsugu1123/status/1382685882910662662?s=19
    はちみつよりも少し甘い 吹き抜ける夜風に目を細めて、ロナルドは乱れた銀髪を撫で付けた。
     眼下に広がるビルの谷間に視線を這わせ、「どこだ……?」と、呟く。
     夜と同じ色の漆黒のマントを風にはためかせながら地上を見渡し、目を凝らした。月明かりも人工の明かりも届かない暗闇に向かって、その隅々まで見逃すまいと気配を探っていると、ある路地の奥に蠢く影を見つけ、青い瞳がきらりと輝く。
     「いた!」
     一声叫ぶと同時にトン、と軽くビルの屋上を蹴って宙に身を投げ出す。ひゅうひゅうと風を切り裂いて落下しながら、四肢にざわざわと銀色の獣毛が生え、肉体の形が変形して行く。口元の牙はますます大きく尖り、頭には獣の耳が生え、腰からにょっきりと尻尾がつき出す。地面に降りるまでの一瞬の間に、ロナルドは一匹の狼に変身していた。
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