心配のかけらフェリクスからこんなに嫌われるとは思わなかった、少し困るな…とディミトリは何かのついでにシルヴァンにこぼした。頭の上で腕を組んだシルヴァンは、あいつには困っちゃいますよねぇ…と同意しながら、ちらりとディミトリを流し見た。言いにくいことがあるときのシルヴァンの癖だった。
「…なんだ?」
ディミトリは気安く眉を上げて見せる。
「確かに口は悪いですが、あれは、嫌ってはないかと」
言ったもののシルヴァンは首を振った。根拠がないと気づいたのだろう。
「そうだろうか」
気休めでも少し落ち着く気がした。仲が良くて付き合いが長い分、感傷もひとしおだった。このようになった以上昔のようにとは言わないが、取り付く島もないのはなかなか困る。
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