午後八時を回った頃、楽は大和を乗せて車を走らせていた。
「悪いな。いきなり外で食うことになって」
「それは別に良いけど…でも珍しいね、楽が外で食べようって」
「まぁ、ちょっとな」
「???」
楽が車を走らせているのには理由があった。
楽は大晦日と言えば年越しそばだったのだが、大和は家にほとんど一人だった為、適当に済ませていた。
楽はそれであればと、実家に大和を紹介すると同時に年越しそばを食べれば良いのではないかと考え、急遽実家に向かっていた。
― ―
楽が車を停めた。
(ここどこ……?どっかの店…?)
楽の案内のもと店の前に行くと『そば処山村』と書いてある。明かりは点いているものの暖簾が仕舞われている状態。つまり営業は既に終了している。だが、楽は店に入ろうとしていた。
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