酔いも甘いも紙一重 獅子神は酒に強い。どれだけ飲んでも酔っている素振りを見せない。
見る「目」のあるものが微細に観察すればアルコール摂取していると分かるが、普通に生活する人間には全く悟らせないレベルだ。
「昔からそうなのか?」
「ん?何が」
ゆったりとした晩酌の時間、ふと気になって尋ねてみた。
「あからさまに酔っているところを見たことがない」
「あー……前は強くもなく弱くもないって感じだったな」
「酒の強さは遺伝子によって決定されている。アルコール分解能が年齢とともに低下することはあっても、上がることはないはずだが」
「そうなのか?」
獅子神は鷹揚に首をかしげた。
「ああ。訓練によって酒に強くなるというのはまやかしだ」
「でも、お前から見て今のオレは酒に強いだろ?」
2234