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    おぼろ

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    おぼろ

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    推しカプシチュガチャより「966の好みの味をがんばって研究する326」。
    研究はしてない……

    君の好きな味【クルサブ】「う~ん、美味しいけど何か違うんだよな……?」

    クミンにナツメグ、ターメリック、・・・様々なスパイスの瓶が転がっている横で、鍋をかき混ぜる。


    『今夜泊まらせろ』

    本来の文章はもっとひねくれていたが、そう解読できるメールを受信した。
    現在の家主を怒らせたんだろうな・・・と予想しながらも、珍しく助けを求めた友人を迎えるべく、夕食を準備することにした。
    久しぶりに訪れる友人の為に、どうせなら彼の好きな味を再現しよう・・・と思いキッチンに立ったのはいいが、どう頑張っても前によく食べさせてくれた彼の好きな味を再現できずにいた。

    「やっぱり宇宙人の作る料理は、地球のスパイスじゃ再現できないのか」

    幾度となくスパイスを加えては鍋をかき混ぜたが一向に求めている味にはならなかった。
    もう諦めようかな、そう思ってコンロの火を止めた時、ガチャッと玄関のドアが開き、かわいらしい足音と共に相棒が姿を現した。

    「やぁ、クルル。思ったより早かったね。」
    「被害に合う前に避難したくてな、邪魔するぜぇ」

    部屋中に充満する匂いが気になったのか、友人はキッチンにいる俺の足下まで来て、味見をせがんできた。
    どこからかスプーンを取り出した友人は俺に抱き上げられると、満足そうな笑みで鍋の中の料理をすくった。

    「ん~、サブローにしてはまぁまぁなんじゃねーの?」
    「ありがとう。本当はクルルの好きな味を作ろうと思ったけど再現できなくってさ!
    やっぱり料理って難しいね。」

    そう返答すると、相棒はきょとんとしたような表情をしていた。

    「俺の好きな味ぃ?そんなもん教えたか?」
    「ほらっ、よくクルルが作ってくれたカレーだよ。」

    あれ美味しくて俺も好きな味なんだ、そう伝えると友人から予想外の言葉が返ってきた。

    「ん?ありゃオメーに合わせて作ったんだよ。」
    「え」
    「衣食住世話になってたから、おめぇの好みに合わせてやってたんだよ。」
    「え、そうだったんだ。よく作ってたからてっきりクルルが好きな味なんだとばっかり…」
    「ククッ…オレ様の味覚は地球人には刺激が強すぎるからな。
    オメーには合わねぇと思うぜ?」

    そう言いながら友人は再び鍋に火をつけ、笑みを浮かべながら鍋をかき混ぜ始めた。
    そんな友人を横目に見つめながら、そりゃ好きな味の再現なんてできるわけ無いか、とため息をつきながら、散らばったスパイス瓶を片付け始める。
    しかし、あの頃から友人に気を遣われていたという事実が想定外で、だけど嬉しくもあった。
    ふっ、こらえきれずにこぼれてしまった笑みを、不愉快そうに友人に見られたので、今度は堂々と正面から笑いかける。

    「ねぇ、クルルの好きな味教えてよ?今度は俺がクルルに合わせた味を作るからさ」
    「地球人の、ボウヤには早すぎる味だぜ?」
    「そう?食べたら意外と癖になるかも」

    別にお互い深いところまで踏み込んだりはしないけど、知れることは知りたい。
    そう思いながら、棚から2人分のお皿を取り出した。
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