互いに譲れず、譲らず。「あ、ヒノエ姉! フィオレーネ! 珍しいな、二人が一緒にいるなんて」
カムラの里の猛き炎……シラヌイは、姉と友人の組み合わせに笑って駆け寄った。エルガドにいる二人は定位置が異なるため、彼の言うとおり共にいることは珍しい。
「あら、シラヌイさん。ふふ、ちょうどシラヌイさんのお話をしていたんですよ」
「そうなのか? なんの話?」
一瞬だけ二人の視線が交わり、すぐに逸らされる。
「秘密です♡」「秘密だ」
その前。観測拠点エルガドにて。獄狼竜もかくやという真っ黒な空気を纏うのは、カムラの里の「癒しの太陽」ことヒノエと、エルガドにおいての準リーダーであり誇り高き騎士であるフィオレーネだった。
「…………」「…………」
1945