愛を叫べよ、その名の下に いつもの出来事だった。人に仇なす吸血鬼が現れ、ギルドや吸対の面々が揃って街を守る。
ある意味日常茶飯事とも言える状況の中、唯一違った事と言えば、逃げ遅れた子供を庇ってロナルドが大怪我をした事だった。数多の血の刃がロナルドの頬を掠め、その体躯を貫いていく。そんな状態でも一撃で吸血鬼を討ち取ったのだから、やはりロナルドは凄腕の退治人であった。
「お前が身を挺して守ってくれたおかげで、この子はかすり傷ひとつもない。親御さんへの連絡は私たちが行うから、お前は今すぐに病院へ行くんだ」
「おぉ、サンキューなヒナイチ!でも俺は大丈夫だから他の奴らを手当てしてやってくれよ。ドラ公達も家で待ってるだろうし、このまま家に帰るからさ」
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