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パサパサ
おまえ、パサパサも知らねーのかよ、となりの知らないやつがぼくに言った。
そのとなりのやつはそれはパタパタだろー、と笑っていた。
飛べるの? それ、とぼくが聞いたからかもしれない。
明るいのになぜか暗くて、声しか聞こえなかった。
それからすぐ視界が真っ黒くなって、そこから先は覚えてない。
いまぼくの前に誰かがいる。白い人だ。目の前に立たれている。後ろを振り向いた。あとは、バタバタしている音が聞こえる。
「少年のバイタル安定しました」
「どうなったのですかぼくは」
一番近くの白いひとがぼくの声を聞きとって答えた。
「運ばれてきたんですよ。中毒になる前でよかったです」
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