🕶🐈⬛_
「っ…、ふ、…ンっ」
雰囲気に酔って、お互い見つめあって、多分きっと、そうだろうって瞼を閉じて口に触れる感覚を待った。待った通り、 柔いそれが押し付けられて、じんわりと幸福感が身体を支配する。イメージ通りの『恋人』らしいことをしていると思うと、羞恥心で熱がおさまらない。けれど、それでもどうしようもなく幸せで、どうにかなりそうだった。気づいたら啄むような動きになって、お互いがお互いを求め合っていて、満たされた。ふぅ、と息をついて少し呼吸を整えて。また彼と目が合った時、ふ、と口角を上げて微笑まれると忘れていた羞恥心が顔をのぞかせてきて思わず俯いてしまった。手が頬に触れて、ああ、来る、と思ってぎゅっと目を閉じて再び、あの幸福感の温もりを待っていた。
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