静寂を歩く 【静寂を歩く】
どうしても眠れない夜というものがある。目を閉じても、すぐに寝れると言われた呼吸法を試しても中々眠気が訪れない。寝る前に刺激の強い物を食べたり、興奮するような映画を観た訳でも無い。ただ理由も無く普段はやって来るであろう眠気がどうして中々訪れてくれないのだ。
カルデアの大多数のスタッフが眠っているであろう深夜の静寂の中、まるで自分だけが独り取り残された様な……そんな気分だった。もう何度寝返りをうったのかも分からない。いっその事誰かベッドの下なり天井裏なりに潜んでいてくれないかと思ったが、なぜかこういう日に限って誰も居ないのである。話でもすれば少しは気が紛れて眠たくなるかもしれないのに。
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