「行き先不明のミステリートレインねえ」
真経津さんは窓の外を見つめながら呟いた。「行き先不明なんてわけないのにね」
「でも実際分からないじゃないですか」
「そうだけどさ」
真経津さんは外からゆっくりと僕に目を戻した。
「本当に行き先不明なんてことはないでしょ。他のダイヤとの兼ね合いもある訳だし」
「そうですけど」
「到着駅は決まっているはずなのに隠すなんて変」
「でも、最初から終わりが分かってたら面白くないでしょう?」
「確かに。それもそうだ」
真経津さんは納得したようにぱちんと手を叩いた。しかし、本当にどこに向かっているのだろうか。僕は窓の外に目を移した。空模様はどんよりと曇っている。民家がある様子はない。何かしらの植物が生えている様子もない。現在地も、終着地もわからない。まるで人生みたいだ。
「でも答えがわかってるのに知らないふりをするなんて、変な感じ」
「真経津さんは分かってるんですか?」
「分かってるよ」
「御手洗くんはボクが死んだあと、どうするの?」
「結論、出ちゃってるんでしょ?」