「さんじゅーはちてんななど」
「風邪だな」
薬研はわたしの手から体温計を受け取ると、真っ直ぐとわたしを見据えて言った。
気のせいにしたかったけども、この熱っぽさと倦怠感から逃げられることは出来なかった。どうにかバレないようにと誤魔化そうとしたけど、本丸医務室長(使うのはわたししかいないけど)の目をかいくぐることなんて出来るはずなかった。
「今日は一日安静」
「でもやることが」
「しなくていい」
「仕事」
「休んでも罰は当たらん」
「課題が」
「期限随分先なの知ってるぞ」
うっ、と言葉を詰まらす。その通りだ。取り付く島もない。でも出たからには早々に終わらせておかないと何だか落ち着かない。何か緊急の用が入って後々出来なくなるかもしれないし。課題なんて先に終わらせた方が良いに越したことはないのだ。
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