架空の天使 宗教国家であるゆえに信仰を唱えることは何もおかしな話ではない。それはものであったり人であったり、あるいは存在しない事象だったりすることもある。
───天使がいるんだ。
そうアイメリクが話題に出したのが、前者であるのか後者であるのかは理解できなかった。ぼんやりと頭に浮かべるのは、彫刻になるような美しい女神の姿だ。どうやらそれを彼は目視で見たことがあるらしい。
イシュガルドの街を歩きながら、そんな話に疑問を覚える。なんでも、初めて聞く話だということもあった。
「それは他の人にも見えるの?」
「エスティニアンにも教えたらそれはお前だけだと言われた」
よりにもよっていちばん信仰だか何だかに疎そうなエスティニアンにその話をしたのか。まあ長年の付き合いのある彼らのことだ、そんな些細な会話は流す程度に行っているのかもしれない。
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