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    ჯびたず

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    ჯびたず

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    弊デ髭バソのハロウィンコスプレ投票結果、同数で2位の『囚人×パイレーツ』の、お話です。
    色々と、ぬるいというかユルいです。

    ありがとうございましたー!<(_ _)>

    ##髭バソ

    囚人×パイレーツ(髭バソ)「……どうしたものか」
     拿捕した船を調べた部下の報告を受け、この部屋に入ったバーソロミューは、腕組みをして首を傾げた。視線の先には、頑丈な檻。その中には、長身のバーソロミューを超える体格の髭面の男が、やはり腕組みをして太々しい笑みを浮かべている。
    「君は囚人だろう?私達に加わるのであれば、それもいいが……規律を守れるかな」
    「さぁな……テメェ次第だ」
    「……そういうところだよ……」
     バーソロミューは海賊船の船長である。奴隷船だと思ってこの船を襲ったが、乗せられていたのは解放すべき奴隷ではなく囚人だった。しかもこの男一人、どれ程の凶悪犯なのか奴隷船を装った船で、護送される途中だった。部屋に来る前、この船の乗組員を質してみたが、海賊の恐怖の方に震え上がった彼らからは何の情報も得られなかった。

     部下がこの部屋に入った際、男は『テメェの頭を呼べ』と鋭い目で見据えたそうだ。滅多なことでは怖気付かない部下も、背筋が凍る思いだったらしい。バーソロミューが到着し、部屋の出入口で見えるように部下へ自らの武器を預けても、その警戒は解かず、じっと歩く姿を見ていた。
    「……テメェが船長か。は、お綺麗な顔とその腰で、部下増やしたんか?クク」
    「……貴殿は、死を選ぶようだな」
     入口から踏み込もうとする部下を片手で一旦制し、感情のない声でバーソロミューが答える。大抵の者は震え上がる様も、男は楽しんでいるようだ。
    「まぁ待て。もう少し話そうや」
     そう言い、男は歯を見せて笑う。それでも視線は、バーソロミューの身体を舐め回すような好色さを感じるものだった。バーソロミューは眉根を寄せながらも名乗り、男の名を聞くと彼は『サッチ』とだけ答えた。
     そして、冒頭の呟きになる。

    「……少し待て」
     バーソロミューは、背を向けて出入口へ戻り、待機している部下に何か命じた。彼らは多少動揺したものの、部屋の前から去っていく。それを見送ってドアを閉め、バーソロミューが戻ってきた。
    「……これでいいだろう。さぁ、エドワード。顔をよく見せておくれ」
     先ほどとは打って変わって、甘さを含んだ声でバーソロミューが語りかける。
    「……見違えたぜ。まさかお前がねぇ」
     収監により伸び放題になっていた髪を掻き上げて、別の名で呼ばれた男が笑った。
    「ああ……色々あったよ。お前が無事で良かった。もう逢えないかと……」
     檻の中の男——名をエドワード・ティーチという——は、バーソロミューの恋人だった。
     前職で乗っていた船で出会い、親交を深めるうちに同僚から友人へ、更には恋人へと密かに関係が変化していった。
     バーソロミューが海賊になるきっかけとなる事件の数年前、上司の機嫌を損ねたエドワードは解雇されていた。上司の命令で港町へ出ていたバーソロミューは、慌ただしく出港した船の甲板から、桟橋に佇むエドワードの姿を見つけた。しかし、当時の彼の立場ではどうすることもできず、そのまま離れ離れになった。そして今日。囚人となった彼を運んでいた船が、海賊となったバーソロミューに襲われるという、運命的な再会を果たしたのだった。
    「さっきは悪かったな……あんなこと」
    「いや……もう聞き慣れたさ。私は美丈夫だからね。海賊船の船長としては新米だが、そういった誤解は何度もされたし……」
     言葉を切ったバーソロミューが手袋を外し、エドワードの頬にそっと触れる。久しぶりの感触に、エドワードの目と唇が緩く弧を描いた。
    「君が……私の身体を、そう見えるように変えたんだよ?」
    「……違えねぇや。自分で美丈夫って言うのも変わってねぇなぁ」
     見つめ合い、檻を境にして指を絡めてクスクスと笑い合う。青い瞳が涙に潤んでいた。

    「……なぁ、その話どうなんの」
    「ん……?そうだな。折角再会したんだ。愛しい恋人と、いつまでも幸せに、船で楽しく暮らしました……でもいいぞ」
     少し掠れた声で答え、バーソロミューが笑う。イベント終了後、シミュレーションルームに船を出し、譲り受けたセットの檻をバーソロミューの船長室へ移していた。
    (愛しい恋人……)
    「ッ。このメイクは、メリバもあり?」
    「……まぁ、海賊としてならな」
     黒髭が、生々しい傷を描かれているバーソロミューの首に触れる。黒と白の横縞の囚人服を着た黒髭の手首には玩具の手錠がぶら下がり、上半身のあちこちに傷が作られていた。
     ナーサリーの持つ絵本の挿絵に近いデザインになったバーソロミューの衣装は、檻の外にかけられている。2人は、設定のままに檻の中で抱き合っていた。
    「……檻の中の恋人に、ガウンで夜這い……ねぇ」
     黒髭が頬を撫で、バーソロミューが笑う。互いに、このシチュエーションを気に入ったらしい。
     窓から差し込む月の光の下。祭の夜は、まだ続いていた。
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