いつもより、キスはした「……これ……や、ここは」
「……まさか」
座の世界の港町。酒場へ向かおうと歩いていた黒髭とバーソロミューだったが、通りを曲がったところで周囲が真っ白になった。
一切の音が消え、自分達が閉鎖された空間にいることに気付く。目が慣れてくると、そこは安宿の一人部屋程度の広さだと分かった。中央にソファがあるだけの、どこを見ても全てが白い空間。
「抑止力何してるんだよ」
「……そもそも、抑止力が関係するのか?……するか」
黒髭の言葉に、バーソロミューが顎に手を当てて首を傾げる。
座の世界においては、常に大なり小なり抑止力が働く。それはこの世界の均衡を保ち、明らかな異常事態が起こることは無い筈……そう考えていた。
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